ブラウン管とロックンロール ~あいみょん「瞬間的シックセンス」感想

   あいみょんの2ndアルバム「瞬間的シックセンス」が”Google Play Music”で配信されていたので、最近ずっと聴いています。

ロックロックこんにちは

   あいみょんの名前を初めて知ったのはスピッツの草野さんがパーソナリティを務めているラジオ番組「ロック大陸漫遊記」でした。
   あいみょんさんはスピッツ主催の「ロックロックこんにちは」にも出演していて、草野さん曰く「ロックで反骨心がある」そうです。
   ロックな草野さんがロックと称しているのだからロックなんだろう、ということで、僕のなかでは、あいみょん=ロックンローラという認識になっていて、アルバムもロックバンドのアルバムのつもりで聴いています。

「瞬間的シックセンス」

   あいみょんの歌を、まとまった曲数で聴いたのはこのアルバムが初めてです。
   スカッとしたサウンド、綺麗なメロディ、ストレートな歌詞、透明感を感じさせつつも芯の通った歌声。ーー基本的に耳あたりが良く聴きやすいです。
   それでいて、ザラッとした部分もあり、音が右から左に抜けるだけで終わることなく、ちゃんと心に引っかかる。
   あちこちに散りばめられたパンチの効いた歌詞や、言いたいことは言わしてもらうぜ、というスタイル。ーーそんなところがロックなのかなと思いました。

   曲目を見ると、①「満月の夜なら」、②「マリ―ゴールド」、⑨「今夜このまま」がシングル、③「ら、のはなし」、⑤「プレゼント」、⑩「あした世界が終わるとしても」がタイアップ曲です。
   シングルとタイアップ曲がアルバム収録曲の半数を占めているので、かなり豪華な仕様ですね。

   シングル3曲はもちろん素晴らしいです。
   それ以外にも「ナンマイダ~」が印象的な④「二人だけの国」、「セックスばかりのおまえら」という出だしにドキッとさせられる⑧「夢追いベンガル」、恋しさを歌ったピュアな⑪「GOOD NIGHT BABY」も良い感じ。
   まだまだ聴きこめてませんが、これからもずっと聴き続ける名盤になりそうな予感がします。
あいみょん「瞬間的シックセンス」(Amazon)


「青春のエキサイトメント」

   2ndアルバムが良かったので1stアルバムも聴いています。……すっかりハマってしまいました。

   特に②「生きていたいんだよな」が鳥肌が立つほどよかった。語りから始まってメロディに入っていくパターンの歌で、内容は飛び降り自殺の現場を描写していたりしてドぎついのですが、歌詞が心に刺さります。
   またスピード感のある美しいメロディが、陰惨な歌詞をカバーして、繰り返し聴ける仕上がりにしてくれているのもいいです。歌はやっぱりメロディが重要だなと感じました。

   他にはシングル曲の③「君はロックを聴かない」や、「ぶん殴りに行くからさ」と歌う粗野で軽快な⑨「RING DING」、雲や犬の描写が印象的な⑩「ジェニファー」、優しく始まりやわらかく広がっていく⑪「漂白」も好き。
   これも2ndアルバムに負けじと良いアルバムです。
あいみょん「青春のエキサイトメント」(Amazon)

   ところで②「生きていたいんだよな」のなかに「ブラウン管の外側で」という歌詞が出てきます。
   あいみょんさんは日常的に「ブラウン管」という単語を使ったことのない世代でしょうから、もしかしてブルーハーツの影響を受けていたりするのかな。(「ブラウン管の向こう側/かっこつけた騎兵隊がインディアンを撃ち倒した」(ブルーハーツ”青空”より))
   真相はわかりませんが。

   赤いジャケットのアルバムに入っている赤い血が流れる歌詞の歌と、ブルーハーツの「青空」がつながっているとしたら、興味深いなとちょっと思ったのでした。