切なくて甘酸っぱい恋のはなし ~スピッツ「仲良し」感想

「仲良し」はスピッツの8thアルバム「フェイクファー」の5曲目に収録されています。
スピッツ「フェイクファー」

一.
   2分半という短い時間の中に、切なくて甘酸っぱい恋の物語がギュッと詰まっています。

   歌の中で最も印象的なのは最初と最後に繰り返される歌詞です。
「いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかブルーになってた あれは恋だった」
   これがこの歌の世界観の全て、と言っても過言ではないと思います。

   クラスに、休み時間になると話しかけたりかけられたりするようなちょっと仲の良い女の子がいて。たまに帰り道の本屋なんかで会ったりしたら、時間を忘れて立ち話をしたり。夏祭りでばったり会ったら普段とは違う浴衣姿にどぎまぎしてしまい、つい目をそらして彼女の下駄の足指をずっと見ていたり。仲もいいし気にもなるんだけど、つきあうとかそういう感じでもなく。
   なんとなく楽しい時は流れて、いつのまにか卒業して離れ離れになるころに、ふと気づいてしまう。「僕はあの子に恋をしていたんだ」……みたいな。

「どこかブルーになってた」の「どこか」がミソですよね。自分のなかに芽生え始めた恋心に気付きつつあるんだけど、はっきりせずにもぞもぞとしている感じがくすぐったいです。

二.
「いつも仲良しで……恋だった」の歌詞だけでご飯何杯でもいけそうなので、実はこれ以外の歌詞はほとんど耳に入っていなかったのですが、あらためて聴いてみると、あれ?って思うところがいくつかありました。
「かすかなイメージだけを追い求めてた」「気のせいだと悟らずにいられたなら」などです。
「どこかブルーになってた あれは恋だった」とか言ってるけど、本当は自分のなかの恋心に気付いていたのかなぁと思いました。でも下手に告白してしまうと今の関係まで崩れてしまうから、知らないふりをしていた。
   うわーー、甘酸っぱいーー。

   まあ、僕にはそんな仲良しな女友達なんていなかったですけどね。
   切ないな、自分!

三.
   個人的に好きな歌詞は他にありまして、間奏前の「サンダル履きの足指に見とれた 小さな花咲かせた あれは恋だった」の部分です。
「サンダル履きの足指」というフェチでチラリズムなところと、「小さな花」というちょっとロリータっぽいかわいらしさがいいです。ピンポイントで自分のツボをギュッと押してくれた感じです。
   草野さん、ギュッジョブ、いやグッジョブ!