空を見上げてみる ~nano.RIPE「ピッパラの樹の下で」感想

   8月に発売されたnano.RIPEのニューアルバムの感想です。
   2名体制になってから初のフルアルバムですね。

   2名になったからパワーが落ちたということも特になく、これまで通り、弱さと強さを兼ねそろえた、孤独だけど前向きな全力疾走のサウンドが素晴らしいです。

   アルバム名が前作と異なり、ちょっと長めの日本語タイトルに戻っていることからもわかるように、今作はダークでヘヴィーだった前作よりも、3,4枚目のアルバムに近い作品になっています。POPで明るい。
   また全体的に「空」を連想するタイトルや曲が多いです。
「あおのらくがき」「月兎時」「上弦」「スターハンター」「雲の落とし物」「夜の太陽」。それから「上昇気流を捕まえて」と歌う「ヒーロー」。
   アルバムを聴いていると空を見上げたくなりますし、ランニングのBGMとして聴いていると、ちょっぴりペースが上がります。
   気分が上を向くのは良いことですよね。

   と書くと、ライトでキャッチ―な曲ばかりと思われるかもしれませんが、鋭くソリッドな曲も健在です。②「虚虚実実」や⑦「アザリア」が、前作のダークサイド(?)もしっかり継承しています。

   またnano.RIPEのリード曲としては珍しいミディアムバラードの③「ポラリス」がすごくいい。ストリングスを加えたアレンジも壮大で今までのnano.RIPEにない名曲だと思います。もちろんアレンジに負けじと歌詞もメロディも良いです。

   空の青がどこまでも広がっていくような清々しさと、ザクっと刺さるような激しさとが矛盾せずに綺麗に詰め込まれているーー「ピッパラの樹の下で」はnano.RIPEらしさ120%の最強の一枚だと思います。

   個人的なおすすめは⑨「スターハンター」と⑪「夜の太陽(クレセントver.)」です。
   ⑨「スターハンター」は静かに始まって音が厚くなっていく構成がいいですし、「……きみに僕はもう一度恋をする」のあとのラストのコーラスも好き。
   ⑪「夜の太陽」は前回のライブのときに会場で買ったシングル版からガラッとアレンジを変えてきて、アコースティック調になってます。こちらのver.の方がメロディと歌詞の美しさがより際立っています。
   そして「寄り添うフリして救われたんだ きみも同じなら」という歌詞が好きです。さみしくもあたたかい。

   初回限定盤にはライブCDも付いてきます。
   nano.RIPEのライブCD自体はそれほどレアでもないですが(だいたい毎回付いてくるので)、やっぱりライブ音源はいいですね。気持ちが高揚します。

   11月の金沢ライブのチケットも取れたので、去年に引き続き、ライブも行ってきます。
   しっかり予習して、ばっちり弾けてきます!楽しみだ。