ジャケットでふり返る30年 ~アートブック「スピッツのデザイン」 感想

   スピッツ初のアートブック「スピッツのデザイン」が2/2に発売されました。
   予約特典の布張りケースが製造数を確保できないため11月発売予定から2月に延期になっていたのですが、無事発売になりましたね。よかった。

   僕は近所の本屋で予約注文したので、その日のうちに自転車で取りに行きました。

| 外観

   店頭で受け取ったのは、なんと「スピッツのデザイン」と書かれた段ボール箱でした。
   その中に特製ケースに納まった本体が入っているという、なんとも重厚な作り。

   サイズも大きいし、家宝にしたくなるような丁寧な仕上がりです。
「フェイクファー」のアザ―カットの写真もいい感じです。
スピッツのデザイン

ロゴもかわいい

| 内容

SECTION1
   前半には、「crispy!」までのジャケットのデザインを担当した梶谷芳郎さんと、それ以降のデザインを担当した木村豊さんのインタビューが載っています。
   アルバム1枚につき見開き2頁を使用していて、左ページに写真、右ページにインタビューが掲載されています。
   後半には、草野さんのロングインタビューがあります。

SECTION2
   ジャケットのアザーカットや設定資料などが大量に投入されています。

| 感想

   一通り読んで、これは30年記念の企画として非常にうまい!と思いました。
   ジャケットに焦点をしぼったことで、ただ未公開の資料を寄せ集めただけではない、コンセプトの明確なアートブックになっています。
   これがもしもスピッツのメンバーのロングインタビューや未公開写真の掲載だけだったとしたらありきたりで面白くなかったと思います。
   ジャケットの歴史を追いながら、担当されたデザイナーさんの話を聞くことで、そのときどきのスピッツの音楽、草野さんの思想、当時の時代の空気も感じることができました。(アナログからデジタルへの変遷とか)
   またジャケットに隠された秘密(?)なんかもわかって、「へえ」「おお!」ってちょっとした驚きもありました。
   音楽はもちろん耳で聞くものですが、骨の髄までしゃぶり尽くそうとしたら、目でも楽しむものなんだなと思いました。なんか変な表現ですが。

   税込みで7020円という高価な本ですが、その価値はあったと思います。

   とはいえ、やっぱ高いかな。決してコストパフォーマンスは良くないですよね。物理的に7000円は高いです。
   いずれ3000円くらいのコンパクトサイズの廉価版も出してほしいですね。
   学生さんとか欲しくても手が出ない人もいるだろうし。
   なんていうか、スピッツには高価なものを出して「はい、おしまい」という商売はしてほしくないです。僕もいま高校生や大学生だったとしたら買えなかったと思うので、お財布に優しい感じでお願いします。

 | おまけ

   本が入っていた外箱(段ボール)ですが、捨てるのも忍びないし、残しておくのも場所を取るしで、どうしようと悩んだ末、会社に持っていくことにしました。
   仕事でモノを送るときの梱包用の段ボール箱として使おうと思います。
   受け取った人がどういう反応するか想像すると楽しいし、その人がまた別の部署にモノを送るときに使ってくれれば、役にも立つし。
   そうやって「スピッツのデザイン」と書かれた段ボール箱がぐるぐると全国を回っている様子を想像するとちょっと愉快な気分になります。
捨てるのは忍びない立派な外箱