2強を打ち崩せ! ~徳永英明「JUSTICE」感想

「JUSTICE」は1990年10月に発売された徳永英明の6枚目のオリジナルアルバムです。
徳永英明「JUSTICE」(Amazon)


   とても完成度の高いアルバムだと思います。徳永英明をある程度好きな人なら、このアルバムを聴いて悪い印象を持つことは少ないのではないでしょうか。
   一方で、聴くシチュエーションの難しいアルバムだともいえます。
   例えば、明け方にラブソングを聴きたないなら「Realize」、明るい昼間に外に出かけたいときは「Revolution」、夜に深く沈みこみたい気分のときなら「Nostalgia」がよく似合います。でもそんな感じで合うシチュエーションが「JUSTICE」の場合思いつかない。
   泥を塗った暗いジャケットのイメージや、「NEWS」「壊れかけのRadio」「JUSTICE」といった社会批判色の強い曲(もちろんそれだけではないですが)が強烈なインパクトを放っているせいもあり、ちょっとテーマが重く感じます。
   実際にはラブソングもあるし、「Be nude」「CRESCENT GIRL」のようなライトな曲もあるんですけど、全部「壊れかけのRadio」「JUSTICE」に持っていかれている印象が強いです。
   この2強が圧倒的にアルバムをどーんと支配していて、僕の中では全体を通して聴くことが少ないアルバムでした。買った当初は特に「JUSTICE(曲名)」ばかりを繰り返し聴いていた覚えがあります。

   アルバムのテーマというかイメージをもっとうまくコントロール出来ていたらもっと好きなアルバムになったんじゃないかと思います。
   簡単にいうと、僕は「Be nude」がわりと好きなのですが、「Be nude」を聴くためにこのアルバムをCDプレイヤーに入れたくなるようなアルバムだったらよかったと思います。
   んん、わかりにくいですね。なんだろ、もう少し明るいコンセプトでまとめてほしかったってことなのかな。
   実際、タイトルやジャケットのイメージほど重いアルバムではないと思うんですよね。曲のバランスも取れていますし。なんとも惜しいアルバムです。


   おすすめは②「壊れかけのRadio」、④「帰れない二人」、⑧「Be nude」、⑩「JUSTICE」です。
   ②「壊れかけのRadio」は言わずと知れた名曲です。④「帰れない二人」は「wow wow~」という言葉になっていない歌詞を初めて聴いて、こういうのもありなんだと感心した思い出があります。⑧「Be nude」は明るいキラキラしたビーチを想像して好きです。
   ⑩「JUSTICE」は、ライブLD「Revolution on film」で観たパフォーマンス、歌唱力、圧倒的な感動が今でも忘れられません。あのライブ映像に魅せられて、徳永英明の虜になりました。