それ、二度寝しちゃうでしょ ~スピッツ「旅人」感想

「旅人」はカップリング集「花鳥風月」の4曲目に収録されています。

「花鳥風月」が発売された当時、僕は大学生で、名古屋のアパートで独り暮らしをしていました。同じタイミングで三重県の会社に就職した先輩がいて、よく週末に僕の部屋に遊びに来てくれました。
   貧乏学生と新入社員の組み合わせなのでお金もなく、だいたいはコンビニで缶ビールを買ってきての部屋飲みです。僕はあまりテレビが好きではないので、いつもステレオから音楽を流してました。

   あるとき、「花鳥風月」をかけていたら、「旅人」を聴いた先輩が「あ、これよく聴いていた」と言い出しました。話を聴くと、実家にいたころ、CDラジカセに「渚」のシングル盤を入れて、朝になるとタイマーで流れるようにして、目覚まし代わりにしていたそうです。

   たしかに、「渚(A面)」→「旅人(B面)」という曲順は、朝の目覚ましにぴったりな、なかなかよいチョイスに思います。1曲目の「渚」でゆっくりと眠りから覚め、2曲目の「旅人」のコミカルで明るい調子でパッチリ目が覚める。いい感じです。
   ちなみに、先輩は「”旅人”のイメージはあまりよくない」と言っていました。「旅人」を聴いたら起きて学校に行かないといけなかったから。……それ、スピッツは悪くないからね!無罪だよ!

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「旅人」はいきなりサビから始まるので、勢いがあります。しかも、初っ端の歌詞は「旅人になるなら今なんだ」であり、堂々たる力強い宣言で、かっこいいです。
   朝に聴いたなら、今日も一日がんばるぞー!って気分も盛り上がること間違いなし!
   と思ったら、次の瞬間には「ありがちな覚悟は嘘だった」と前言撤回する辺りが、スピッツらしいです。

   あれ!?これって二度寝するパターンじゃないですか。
「よーし、今日も一日がんばるぞー!……というのは嘘。うーん、あと5分だけ……むにゃむにゃ」
   先輩、目覚ましに使えませんよ!!