「将来が楽しみね」

リクガメ(石川動物園 '17/04より)

   家族5人でスーパーに行くと、子供3人がふざけてはしゃいで周りの迷惑になることがしばしばあります。(すみません)
   叱っても聞かないことが多く困っていると、周りの人はわりと寛容で、悪ふざけしている子供達を見て「お子さん、3人とも男の子?大変ね」と優しく話しかけてきてくれたりします。
   そんなとき「はい」と答えると、たいがい、「将来が楽しみね」と返ってきます。
   これはもう十中八九、この答えです。
「明日から旅行なんです」と言ったら「晴れるといいですね」と決まり文句が返ってくるように、ほぼ間違いないです。
   でもいったい将来について、どのへんが楽しみなのか、どんな風に楽しみなのか全くわかりません。

   これが女の子ならわかります。どんどん美しく成長していく娘の姿を想像するのはすごく楽しみです。
   しかし、現実は男の子です。しかも3人もいます。大きくなると、象のように飯を食って食費が嵩んで、大学に行かそうものなら学費も嵩んで、お金ばかり飛んでいくことが目に見えていて、楽しみよりも不安しかありません。
   そして、自分に似てきっと可愛げもない。

   僕の妻は正直というか、根が素直なので、あるとき「よくそう言われるんですけど、どう楽しみなんでしょうか」と聞き返したことがあるそうです。
   どんな答えが返ってきたかまでは聞いてないのでわかりませんが、たぶん相手も困ってしまったのではないでしょうか。


   そんな妻から聞いたエピソードで、名言だと思ったお婆ちゃんの言葉を紹介します。
   お婆ちゃんといっても祖母のことではなくて、スーパーのレジ待ちのときに話しかけられた行きずりのご老婦です。離れて暮らしている3人の男のお孫さんがいて、どうやら一月に一回か二回、お家に遊びに来ているようです。
   そのお婆ちゃんの言葉が、
「早く来てほしいけど、早く帰ってほしい」

   可愛い孫に会うのは楽しみだけれど、来たら来たで暴れて家のなかをカチャカチャにして怒り疲れてしまうから、早く帰ってほしい。
   可愛いけどやんちゃな孫を持ったお婆ちゃんの苦悩がよく伝わってきます。また、家に男の子が3人いるということがどういうことかを端的に表していて、上手いと思います。

   そんな街を壊す怪獣みたいな連中が我が家には3人もいて、たまにではなくて毎日、家のなかで暴れまわっています。