ナナに恋する ~スピッツ「ナナへの気持ち」感想

「ナナへの気持ち」は7thアルバム「インディゴ地平線」の6曲目に収録されています。

   この曲は一番に選ばれるような派手さは無いと思う(偏見?)のですが、アルバム曲らしい佳曲で、とても好きな曲です。

   なんといっても、登場する女の子(ナナ)がかわいいです。それも、少女漫画に出てくるような乙女な可愛さや、ジブリ映画のヒロインのような清楚な可愛さというのではなく、何ていえばいいんでしょう、自由奔放で天真爛漫で、周りをぶんぶん振り回すんだけど憎めない、そんな可愛さです。
   歌詞を見てみます。「誰からも好かれて片方じゃ避けられて / 前触れなく叫んでヘンなとこでもらい泣き」という歌詞から、人気者なんだけど変わっているし、天然なところがうかがえます。
「日に焼けた強い腕 根本だけ黒い髪」からはボーイッシュで着飾ることに無頓着な様子や、男の子に混ざって元気に走り回っている無邪気な姿が想像できます。
「元気ないときゃ眠いだけ」や「ガラス玉のピアス キラキラ光らせて」というのも可愛い。

   ただ、天然で無邪気だから、周りの目を全く気にしていないのかというと、どうもそうではないような気がします。
   最後のAメロを見ると「夜明けまで話し込み 何も出来ずホームで見送られる時の 憎たらしい笑顔」とあります。天然なのは本当なのかもしれないけど、それでうまくやっているという自覚はある、あるいは天然と思われるている方が都合がよいのであえて直そうとはしないという計算高さはありそうです。その辺りのしたたかさが、「憎たらしい笑顔」として現れたのではないでしょうか。
   で、天然と思っていた彼女のなかにただ可愛いだけじゃない、したたかに生きていく強さをみつけて、「君と生きていくことを決めた」のではないかと思います。

   ナナはこんな風に歌や物語のなかに登場したら、とても魅力的で恋に落ちそうですが、実際にすぐそばにいたら、振り回されて消耗しまくって、すごく大変そう。恋をしたら身が持たなさそうなので、僕はたぶん遠慮してるかな。
   グループに一人はいたら、ムードメーカや牽引役になってくれて、楽しそうですけどね。

* * *
   僕が住む金沢には「ロイヤルホスト」が無いので、大学で名古屋に出るまでずっと「ロイホ」はラブホのことだとばかり思ってました。実際、ラブホと言い換えても文脈は通じますし。(「街道沿いのロイホで夜明けまで話し込み」)
   大学の研究室仲間と静岡まで学会発表に行ったときに、お昼どうしようかとなって、「ロイホに入る?」と言われたときに、無駄にドキッとしたことがあります。おおおお男同士で!?って。いや、まあすぐに気づきましたけど。