スピッツ「オーロラになれなかった人のために」アルバム感想

「オーロラになれなかった人のために」は1992年4月に発売されました。オーケストラアレンジのミニアルバムということで、長いスピッツ史のなかでも一風変わったアルバムです。
スピッツ「オーロラになれなかった人のために」

   さて、このブログで紹介していないスピッツのアルバムも、17年8月時点で残り2枚になりました。1つは「フェイクファー」で、もう1つが今回紹介する「オーロラになれなかった人のために」です。

   本題に入る前に少し寄り道して、アルバムを紹介していく順番について話したいと思います。といっても、特に決まりはなく、気の向いたものから順番に記事を書いていってます。唯一、紹介する順番に影響がありそうな要素があるとしたら、そのアルバムに対する「思い入れ」や「好き度」です。
   思い入れがあって好きな「花鳥風月」はトップバッターで紹介しました。一方、思い入れがありすぎて、大好き過ぎる「フェイクファー」は、丁寧に記事を書きたいので一番最後になりました。(そこそこ思い入れのある「小さな生き物」や「とげまる」も後半でした)

   そして、今回紹介する「オーロラ」です。なぜ、最後から2番目の紹介になったかというと、実はほとんど聴いたことがなくて、僕の耳(と心)が感想を書けるレベルになっていなかったからです。
   正直に書くと、スピッツのファンになって20年経ちますが、「オーロラ」のアルバムを通して聴いたことは10回も無いです。たった5曲しか入っていないミニアルバムにも関わらず。
   オーケストラアレンジというのが、どうもスピッツに合っていないように感じられたし、「田舎の生活」以外は冗長に感じられて、聴き続けるのがちょっと辛かったというのもあります。(実際、「ナイフ」は7分近くと長大ですし)
   しかし、先日の3050ツアーのガチャガチャで「オーロラ」の缶バッジが当たり、これはスピッツ神からのご神託に違いないと思い、「オーロラ」を新しく出たアルバムのつもりで繰り返し聴くことにしました。ここ数日でこれまでの20年間で聴いた回数を軽く超えて聴いています。(軽くも何も10回もなかったですからね……)

   ここからは、「オーロラ」が苦手という方へ(自分以外にも結構いるのものと信じて)、このアルバムを全曲通して聴くためのアドバイスをしたいと思います。「オーロラ」が好きな人はごめんなさい。飛ばしてもらって結構です。

   まず僕があらためてこのアルバムを聴いて感じたことは、記憶の中にある印象ほど聴きづらくはないということでした。
   各曲の演奏時間を見てみましょう。1曲1曲がすごく長いと思っていたのですが、実際には約7分の「ナイフ」以外は、4分台の曲が3曲に、3分台の曲が1曲であり、平均的なスピッツの演奏時間です。全曲聴いても22分程度と短いです。
   また、のんびりした眠くなる曲が多いと思っていたのですが、実際には「海ねこ」のようなアップテンポな曲があったり、アコギの音色が切ない「田舎の生活」もあったりで、どの曲もカラーが異なっていて、バラエティに富んでいます。
   そして、最長曲の「ナイフ」はたしかに眠たくなる面もありますが、実は幻想的な名曲で、中盤以降の静かな盛り上がりが素敵です。

   なかなか全曲聴き通せないという方は、とりあえず、聴きやすい2曲目の「田舎の生活」と、ノリのいい4曲目の「海ねこ」を道標にして、聴き進めるのがいいのではないかと思います。
   アルバムを3回もリピートすれば(それでも僅か1時間強しかかかりません)、どの曲もスルメのように、今まで気づかなかった”良さ”がじわじわと沁み出てくると思います。
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   おすすめは「田舎の生活」です。といっても、自分もオーロラビギナーなので、これから聴きこんで、お気に入り曲を増やしていきたいと思います。