スピッツ「初恋クレイジー」感想

   7thアルバム「インディゴ地平線」の2曲目に収録されています。

「初恋」というかわいい単語と「クレイジー」という狂気じみた言葉とがくっついたタイトルですが、始まり方はほんわかとしています。どちらかというと「クレイジー」っぽさよりも「初恋」っぽさが優っているようです。

   歌詞を拾っていくと、ああ初恋だなぁとわかる青臭いものが多いです。「見慣れたはずの街並みも ド派手に映す愚か者」「君のせいで大きくなった未来」「泣き虫になる 嘘つきになる 星にに願ってる」ーーニヤニヤしてしまいますね。

   ただ、「軽いベーゼで満たされて」なんて言葉も出てきます。初恋でいきなりチューかよ、このリア充め!と爆発しそうになるので、「初恋」といっても、「初めての恋」ではなくて、「初々しい恋」くらいに思っておいた方がよさそうです。ーーまあ、「初恋は実らない」と思いこんでいる時点で、僕は負け組なのかもしれませんが。

   サビでは「君と行くのさ 迷わずに」とか「約束だよね 二人きり」と言いきっている辺りが、男らしいです。とはいえ、全体的に幼い印象の歌なので、女の子の前でちょっと背伸びしてかっこつけているという風にも感じなくもないです。やや空回り気味なのかも……。
   また、「心のプロペラまわす」という歌詞がちょっと好きです。鳥になるんじゃなくて、プロペラ回してヘリコプターになるっていうのが、機械好きな男の子っぽくてよいです。ちなみに、自分のなかでは女の子は「気球に乗る」イメージです。

   サビの最後の「表の意味を超えてやる それだけで」という歌詞が、この歌の「クレイジー」成分を最も濃厚に引き受けている箇所だと思います。
   今日こそ大人の男になるぞー!!って、デートの前に鼻息荒くして興奮していそう。先輩とか友達に、どこがいいか事前に情報を教えてもらったり、雑誌やネットでいろいろ下調べしたり。会った瞬間からそればっかり意識してぎこちなくて。すごいあたふたしている様子が目に浮かびます。クレイジー!!

   あ、でも「インディゴ地平線」って、花泥棒→初恋クレイジーと来て、最後がチェリーで終わるから、結局ダメだったのかな。ーーいや、詮索はやめときます。がんばろうね。