スピッツ「おるたな」カバー曲感想 その2

   前回からの続きで、「おるたな」収録のカバー曲を紹介します。
   今回は後半3曲です。

初恋に捧ぐ

   オリジナルは「初恋の嵐」で、2002年発売。「おるたな」の9曲目に収録されています。
   切ないでも、嬉しいでもなく、清々しい初恋のうたです。メロディも歌詞もスピッツに、しぽっとはまっています。
   サビの「夢から覚めたいんだ」の「ゆめ~から~」の伸びやかな草野さんの声が好きです。
   アルバムではこの曲の次に「テクテク」がきます。うまくバトンが渡ったと感じるきれいな流れです。

12月の雨の日

   オリジナルは「はっぴいえんど」で、1970年発売。「おるたな」の12曲目に収録されています。
   雨、雨、風、雨、雨、風。と、雨の街を行きかう人々の様子を眺めている歌です。特に何も起こらない。ただこれだけで歌になるというのがすごい。
   原曲を聴いたことがないので、スピッツで初めて知りました。

さよなら大好きな人

   オリジナルは「花*花」で、2000年発売。「おるたな」の13曲目に収録されています。
   アルバム同封の制作ノートによると、平井堅のカバーアルバムに草野マサムネが参加する際に、候補曲として草野さんが提案してきたのだけれど、平井さんが「これ、ちょっとスピッツらしすぎない?」と言って却下したことがあるそうです。
    たしかに、スピッツがカバーすると聞いて、うんうん、と納得の一曲です。違和感なく溶け込むというか、一般的な爽やかなスピッツのイメージにぴったりの歌だと思います。でも、意外とこういうストレートに素直で優しい曲って歌ってくれないんですよね。
「猫になりたい」もスピッツらしい曲だけど、逆に、ああいう曲って、他になく貴重で、だから殿堂入りの人気なわけで。

   草野さん本人が作詞したらきっと「さよなら大好きな人」なんてフレーズは出てこないんだろうなと思います。
   だけど、歌ったら、他の誰よりもぴったりくるっていうのが、なんかちょっとずるいです。

* * *
   ということで、さらっとカバー曲6曲の紹介でした。
   次からはまた一記事一感想のいつものスタイルに戻ります。