はじめに

醒めない!醒めない!

   昨年(2016年)の7月に発売されたスピッツのアルバム「醒めない」は個人的な大ヒットとなりました。
 4月に先行シングルの「みなと」を聴いて心を奪われたときから、次のアルバムが楽しみだったのですが、一聴して「醒めない」は僕の想像を軽く超えてくれました。
 CDの一曲目からスタートして、全曲聴き終わったらまた一曲目に戻って、何回も何回もリピートして聴きまくり、聴いている間、その音楽にどっぷりとつかり、夢見心地になる、そんなアルバムに久しぶりに出会ったような気がします。
スピッツ「醒めない」

 「醒めない」の熱は、僕の心のなかでくすんでいたスピッツ熱に飛び火して、古いアルバムを一から全部聴きなおす勢いにまで燃え上がりました。
 そして思ったのです、ああ、やっぱりスピッツいいなぁ、と。最近の自分はスピッツから離れていたなぁ、と。(……と言っても一月以上聴かなかったことはないのですが)

 ふと気が付けば、79年生まれの僕は今年で38歳です。十代のころには大事なように思えていた、ひとりぼっちのさみしさとか、恋の痛みとか、夜の部屋の静けさとか、そういったものが色あせて自分のまわりから遠ざかり、それとともに、音楽とのつきあいかたも変わって、そのせいでスピッツとの間に距離が少しできていたのかもしれません。
しかし「醒めない」でその距離が縮まった!……と思ったんです、勝手に、個人的に。

 僕はごく普通のスピッツのファンです。スピッツを知ったのはロビンソンで、ファンになったのは「フェイクファー」のころから。初めて行ったライブは隼のツアー。ということで、ロビンソン前からのファンの方からしたらファン歴は浅いです。(といっても20年近くになるのが驚きですが。)

 決して熱狂的なファンじゃない、そんな自分ですが、「醒めない」で再び熱くなった気持ちで、スピッツの曲の全曲感想を書いていってみようかと思います。その歌を聴いていた当時、自分が何をして何を思っていたかを振り返りながら。
 
 何曲あるかも数えてないので、どうなるかわかりませんが、途中で力尽きないようにがんばります。

 これを読んで、おお、そんな歌もあったな、とか、そうそう私もその曲が好きだったなとか、スピッツの歌のことを思い出したり、新たな良さをみつけたりしてもらえたら、嬉しいです。