スピッツ「見っけ」感想 〜新しくて懐かしくてキラキラで速くて

   10月9日にスピッツ3年ぶり16枚目のオリジナルアルバム「見っけ」が発売されました!
スピッツ 見っけ

   待ちに待ったスピッツの新作!ということで、発売日当日は夜まで待ちきれなくて、午後から会社を休んでしまいました。(それでいいのか、社会人!?)
   自宅で宅配業者が来るのを待機して、14時頃にアルバムを手に入れ、子どもたちが学校から帰ってくる前にアルバムを一周聴きました。

   一発目の感想は、これはド偉いものを手に入れてしまった!です。
   すごいぞ、スピッツ!!

「見っけ」アルバム感想

    これからがんがん聴き込んでいくとまた印象は変わると思いますが……まずは第一印象を。

   全体的に、サウンドが厚く、エネルギにあふれています。
   聴いていると元気になって外に出かけたくなる感じ。どの曲もポップでロックでかっこいいです。
   また、メロディ展開に今までにないものがあり、え?これがスピッツ!?と思ってしまうほど、新鮮な驚きと感動に満ちていました。

   オープニング曲の「見っけ」はキラキラ感があり、
「ラジオデイズ」「快速」は疾走感があり、
「まがった僕のしっぽ」は中盤でハードに展開が変わるという新境地を切り開き、
   様々な角度から新しいスピッツを見せてくれます。
   そうかと思えば、
「優しいあの子」「ありがとさん」「ヤマブキ」では王道のスピッツサウンドで耳を楽しませてくれたり、
「花と虫」と「初夏の日」では切なく苦しい気持ちを思い起こしたり、
「YM71D」では、初々しいエロスを語ってみたり。
   新しいなかにもいつものスピッツが見え隠れしていて、ハラハラしながらもホッとします。

   また、今回のアルバムで大きな変化と感じたのは、草野さんの歌詞が長くなり、内容が具体的になっていることです。(文字数をカウントしているわけではなく、感覚だけで語っているので違ってたらすみません)
   これまでの曲が、短く簡潔な言葉でイメージを切り出すような歌詞だったとしたら、今作の曲は、大きな背景のある物語を語るような歌詞にシフトしてきています。
   この変化は「ラジオデイズ」「花と虫」「快速」「まがった僕のしっぽ」で顕著です。
   特に「しっぽ」は、社会批判的な色合いが強く、今まではあまりおおっぴらに出てこなかった部分が、前面に押し出されています。

   ただ、歌詞の内容が長くなったからといって演奏時間まで長くなることはなく、あいかわらずどの曲も短い。5分台は一曲もなく3分台が主です。
   この小さく可愛くまとまった感じがなんともスピッツらしいです。
スピッツ 見っけ ベルゲン盤

好きな歌詞

   現時点でお気に入りの歌詞の断片を書き出してみます。(「見っけ」の各曲についてもいずれブログで感想を書いていきます)

「遠い国の音楽 多分空も飛べる」「決まりで与えられた マニュアルなら捨てて電源を入れ直すんだ」(ラジオデイズ)

「終わりのない青さが 僕を小さくしていく」「新しい朝に怯えた」「爽やかな 新しい朝にまみえれた」(花と虫)

「速く速く 流線形のあいつより速く」(快速)

「優秀で清潔な地図に 禁じ手の絵を描ききって 楽しげに果てたい」(まがった僕のしっぽ)

    草野さんの歌詞は、あいかわらず若いですね。少年のまま二十代になった青年って感じ。
   どの歌詞も心の奥の柔らかい部分を刺激してくれます。優しく撫ぜられることもあれば、小さな傷をつけられるようであったり。
   肌も心も震えます。

まだまだ醒めないし見っける

「醒めない」の音楽にガツーンとやられてから3年。
   新作「見っけ」にスピッツのさらなる進化&深化を感じました。まだじっくり聴けてはいませんが、いま時点で前作「醒めない」を超える傑作の予感をびりびりと感じています。

   スピッツは全然醒めないですね。そしていつも新しい音楽を見っけてきてくれます。最高です。

   それにしても、全曲ライブで聴きたいと思えてしまうほど、どの曲もライブを視野に入れた仕上がりになっています。
   キラキラしてるし疾走感のある歌も多いので、ライブではら思いっきり弾けられそうです。(「まがった僕のしっぽ」のCメロのハンドクラップとかライブではどうなるのかしらん)
   ああ、早くライブに行きたいなぁ。楽しみです。

最後にちょっと気になったことも

   これはまあ仕方ないことなのかもしれませんが、ちょっとさみしく思ったことについて。

   最近の作品の傾向として、草野さんの初期の特徴ともいえるネガティブさや根暗な感じが薄まってきています。そして、今作もその流れに乗っていました。
   自分は、もともとスピッツのネガティブな要素に惹かれて好きになったクチなので、それが減っていると、ちょっとさみしいなと思うのでした。
   なんだろ、日かげの人間が同じく日かげの友達を見つけたと思ったら、いつのまにかそいつが日なたの方に離れていったみたいな?ちょっと違うか。

   ネガティブついでにもうひとつ。
「見っけ」を聴いていて少し気になったこととして、これは前にも聞いたことがあるなというフレーズがチラチラありました。草野さんの手癖なのかもしれません。
   良い意味では、だからスピッツなんだという安心感にもなるのですが、悪い意味ではそこにスピッツの殻があるといえなくもない。

   まあ、全く同じところのないアーティストなんていないと思いますしね。
   自分が感じた殻(のようなもの)を破ったときに、また新しいスピッツが見れるのかなと思うと、今から3年後が楽しみです。(3年周期がまるで確定のような言い方)

ベルゲン盤内容

   最後に、僕が買ったのFC会員専用のベルゲン盤を紹介します。
   残念ながらもう入手はできないのですが、ここ最近の3作はどれもベルゲン盤が存在するので、おそらく次の新譜でも同じようにベルゲン盤があると思います。
   次回の参考までに。
スピッツ 見っけ ベルゲン盤
  • Disc1 アルバムCD
  • Disc2 映像Blu-ray(MV & オフショットムービー & メイキング)
  • Disc3 ライブCD(@ゴースカvol.7)
  • ポストカードセット
   Disc3とポストカードがFC特典です。

   何と言っても楽しみはライブCDです。「船乗り」「ハチの針」「ババロア」「サンシャイン」のライブ音源が嬉しすぎます。
   あとは崎山さんがボーカルを務めた「恋のバカンス」も貴重です。

   ライブ途中のMCもしっかり長く入っていました。グダグダになりそうでならならいトークが楽しかったです。他のバンドのMCをあまり聞いたことがないのでわかりませんが、スピッツは意外とMCがうまい(=おもしろい)と思うのですが、どうでしょう??

   映像Discにはパリのオフショットが入っていて、仲の良い4人が見れてほっこりしました。普段から楽しそうでいいですね。

   参考までに、到着したのは10月9日発売日当日でした。
   たしか、前回の「醒めない」のときは前日に受け取っていたように思います。(違ってたらすみません)
   FC会員が増えて発送が遅くなったのかな。
   ファンが増えるのは嬉しいのですが、これからますますライブチケットが入手困難になるのかなと思うとちょっと複雑な気持ちになりもしたり。。。