たまごのなかには天使がいると思ってた ~スピッツ「たまご」感想

「たまご」は5thアルバム「空の飛び方」の1曲目に収録されています。


   なんとも不思議な曲で、いまいちつかみどころがありません。

   まず、歌詞を見てみると、サビとAメロにギャップがあります。
   サビは幼くかわいい印象です。例えば、「からめた小指」「いつか生まれだすヒヨコ」「おかしな秘密」
   一方でAメロはアダルトで妖艶です。例えば、「憧れたピストル」「さかずきのテキーラ」「僕を抱きよせた」。この流れで読むと「バナナ浮かぶ夜」も何だかエロチックです。
   かわいいんだか、エロいんだか、よくわからなくて、十代のころにはこの歌詞を見ていると、何だかぎこちない気分になりました。(そういえば、テキーラがお酒のことだってまだ知らなかったかも)

   最後の「君と僕のよくある……」というあいまいな終わらせ方も、もやっとしていて、続きを言ってくれないのがすごく気になりました。あとは想像におまかせします、ということなんでしょうけれど。わかるようなわからんような。もどかしいです。

   また、製作段階では同じアルバムの「スパイダー」を「速いやつ」と仮に呼んでいたそうですが、実際にはこちらの「たまご」の方がテンポが速いらしいです。たしかに、「たまご」はあまりテンポが速い曲には聞こえないですよね。テンポすらつかめない

   そんなわけで不思議なつかみどころのない曲ですが、最後のサビの「はじめて感じた宇宙・タマシイの事実」あたりに、歌の内容を紐解くなにかヒントがありそうです。生命の神秘に触れているのかもしれません。いや、そうだとすると、テーマからしてますますつかめなくなりそうです。スケールがでかすぎる

   歌詞以外に注目すると、Aメロ→サビでダブルテンポになることから、意外とライブ向けな気がしています。テンポも速いらしいですし。ライブで歌われたら、サビではノリノリでジャンプしてそう。自分は(たぶん)まだ一度もライブでは聴いていないと思うので、ぜひライブで演奏してほしいです。

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   ところで、「空の飛び方」のジャケットに翼の生えた天使が描かれているせいか、漠然としたイメージとして「たまご」のなかには天使がいるのだと思っていました。「たまご」から生まれたのがジャケットの女の子なのかなって。
   でも今見ると、歌詞のどこにも天使なんて言葉は出てこないですね。「僕の天使マリ」の「天使」とかいろいろなイメージが混ざっていたのかもしれません。